2010年05月28日

詐欺、窃盗、有印私文書偽造、同行使

過払い金は弁護士に依頼


本件控訴の趣意は,弁護人鶴敍(主任)および同今枝仁連名作成の控訴趣意書
記載のとおりであり,これに対する答弁は,検察官矢野敬一作成の答弁書およ
び「答弁書(補充)」と題する書面にそれぞれ記載されているとおりであるから,
これらを引用する。
論旨は,被告人を死刑に処した原判決の量刑は重過ぎて不当であり,また,
我が国の死刑制度は憲法13条,19条,31条,36条に違反するというの
である。
所論にかんがみ記録を調査し,当審における事実取調べの結果をも併せ検討
する。
本件は,殺人2件,死体遺棄1件,詐欺14件(うち4件は,いわゆる保険
金詐欺),窃盗1件および有印私文書偽造・同行使・詐欺3件を犯したという
事案であるところ,これらは,Aの殺害とその関連事件,Bの殺害とその関連
事件およびその他の事件の3つに分類することができる。そこで,まず本件事
案の概要を見た上,A殺害とその関連事件,B殺害とその関連事件およびその
他の事件とに分けて,量刑不当の事由として弁護人が主張するところを検討し,
最後に,死刑選択の相当性と憲法違反の主張について検討することとする(以
下,証拠に付したかっこ内の「検」の数字は原審検察官請求証拠の標目番号で
あり,「弁」の数字は当審弁護人請求証拠の標目番号である)。
1 本件事案の概要
(1) A殺害とその関連事件
① 被告人およびその養父であるAは,いずれも原判示のC会社の清算人であり,Aは代表清算人であったところ,被告人は,C会社のD銀行に
対する債務について連帯保証をしていた。被告人とAは,C会社の清算
方針を巡って意見が対立していたところ,被告人は,Aを殺害して,自
分の思うように同社を清算することにより,D銀行に対する上記連帯保
証による債務(以下「本件保証債務」という)を免れるとともに,原判示
第2の生命保険会社との間で結ばれたAを被保険者,被告人を保険金受
取人とする生命保険契約に基づき,死亡保険金(災害死亡時6000万
円。以下「本件生命保険金」という)を得ようと企て,平成10年10
月11日午後9時ころ,原判示第1のF生コンの敷地において,殺意を
もって,Aの頭部を鉄アレイで数回殴打した上,同人を普通乗用自動車
(以下「本件車両」ともいう)の助手席に乗せ,自らは同車を運転して,
時速68キロメートル以上の高速度で原判示第1の免許センター北口交
差点付近のコンクリートブロック壁に同車前部を衝突させ,上記一連の
暴行により,Aに脳挫傷,急性硬膜下血腫,脳内出血等の傷害を負わせ,
よって,平成11年1月20日,搬送先の原判示第1の病院において,
Aを脳挫傷に起因する肺炎により死亡させて殺害した(原判示第1)。
② 被告人は,本件車両を故意にコンクリートブロック壁に衝突させるな
どしてAを殺害したことを秘して,同月27日ころ,原判示第2の生命
保険会社に対し,Aが不慮の交通事故により死亡した旨虚偽の申告をし
て本件生命保険金の支払を請求し,同年11月11日ころ,被告人から
本件生命保険金債権を譲り受けたG会社名義の預金口座に同保険会社か
ら6000万円を振込入金させてだまし取った(原判示第2)。
③ 被告人は,本件車両を目的とする自家用自動車総合保険契約が,原判
示第3の損害保険会社との間で結ばれていたことを奇貨として,同年4月7日ころ,同保険会社に対し,被告人が,本件車両を運転中の不慮の
交通事故により受傷した旨虚偽の申告をして,医療保険金の支払を請求
し,同月12日ころ,被告人名義の預金口座に同保険会社から130万
9000円を振込入金させ(原判示第3の1),同年10月26日ころ,
同保険会社に対し,上記交通事故によりAが死亡した旨虚偽の申告をし
て,Aの相続人として死亡保険金の支払を請求し,同月29日ころ,被
告人名義の預金口座に同保険会社から910万円を振込入金させて(同
第3の2),それぞれだまし取った。



Posted by ミカリン at 19:14│Comments(75)
 
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